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「トメライ」による楽描楽音等の創作記録。個人的な考察や作品の感想とかも書くよ。
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ピクシブの小説機能でも投稿しました。
結構前にケータイで打ったやつ。なんか好きだったので。




バスガイドが見てる。
「お客様、私の目線の先を御覧下さい」
「あちらに見えますのはあなたでございます」
お客様が見てる。
バスガイドが見てる。
運転手が見てる。
僕は見てない。
赤信号!
止まって!
ここで降ります!

バスガイドが見てる。
「お客様、私の目線の先を御覧下さい」
「只今御降りになられたのはあなたでございます」
僕は降りた。
お客様が見てる。
バスガイドが見てる。
運転手が見てる。
バスが点滅する。
やがて消えた。
光化学スモックと手袋を残して。
僕を置いて。

停車場の無いバス停
人はそれなりに周りにいる。
(しきりに歩いている)
(僕を見てはいないようだ)
一人になるのは好きだが
座席に座りたいので
(席が埋まっていたら座れないが)
次のバスを待つ。
次のバスガイドには
見られない事を祈りながら。

バスガイドの言葉は強烈だ。
一体全体なんだったんだ。
皆に先入観を植え付ける。
先入観は音楽の最大の敵と言う。
暇だったのでそれについてよく考えてみた。
何故音楽なのか?絵は?
芸術全般しゃないのか?
単にひとつの意見に過ぎないのか?
それはあるいはそうだろうが…。
…と、いろいろ頭を巡らせたが、
なるほど、ひとつの考えに至った。

人間は耳から得る情報よりも目からの情報を信じやすい仕組みになっている。
音楽は目では見れない。頼る媒体は耳だ。
しかし耳からの情報だけでは心細い。だから言語で補う仕組みもあるのだ。
そこに先入観は生まれ、潜む。
「あのロックバンド(例:U4)は最高だ。」と聞いたしよう。
そうすればたちまちそれをアテにするだろう。
そしてアテにするものが他になければ、
そのロックバンドを(暫定的に)最高の位置に据え置いてしまうことだろう。
つまり、先入観を植え付けられる。と、いうわけか。

そうこうブツブツ言ってる間に
(本当に口に出して言ってる訳ではない)
バスが来た。
フロントライトが点滅している。
近くまで来ても止まる気配がない。
バスは通り過ぎた。
バスは点滅してやがて消えた。
バスにはバスガイドが立っていた。
そして、やはり(やはりと思わせる現状がおかしな事態なのだが、
直感的に思ってしまったのだから仕方がない。)
バスガイドが見てた。
そのバスガイドは先程のバスガイドだった。
バスガイドはまた、客に例の先入観を
植え付けさせる弁術を使ったのだろうか。
だとしたら「点滅しながら消えたのは
あなたです」とでも言ったのだろうか。
そして客は揃って首を回し僕の方を見たのだろうか?
でも僕は点滅などしていない!
現に、していない。
バスガイドの言う、「あなた」の対象である僕が
確認したのだから間違いはないばすだ。

僕は不安になった。
と同時に、気付く。
ここはバス停じゃない、と。
仕方がない。歩いて家に帰ろう。
(歩き出す)
人はそれなりに周りにいる。
(しきりに歩いている)
(僕を見てはいないようだ)
やがて家に付いた。
ふ、と思い。鏡を見た。
僕は点滅していた。
僕は「あなた」になっていた。

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